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2025-08-01

掛け算で効果を発揮する学び(前編)

私たちが生み出すもの(得られる結果)。それを私たちはパフォーマンスと表現することがあります。コスパとか、タイパとか、そうした言い方をするときの「パ」とは「パフォーマンス」のことですね。そこに時間やお金を投下したり、負荷を受け入れることに対して、見合うだけのものが得られるのか?(複数の選択肢があるときには)比較するとどっちが得なのか?といったことを考える場面で多くの人が口にする基準として世の中に定着してしまいました。

さて、ここで「してしまいました」と書いてしまいましたが(苦笑)、実は、正直なところ、その定着はいかがなものか?行き過ぎではないか?と私は感じています。何故なら、この社会は複雑系で動いているため予測不可能であり、コスパやタイパを事前に計算することができると思うほうが勘違いという現実があるからです。

社会の不確実性は日に日に増していますし、そもそも自分自身も変化しますし、変化させることが可能です。つまり、事前予測としてのコスパ、タイパを判断基準にできる場面はそんなに多くないと私は考えているわけです。(もちろん、得られるものと対価・時間を正確に計算できる場合もあると思います)

しかしながら、本日は、あえてパフォーマンスを「計算」の視点でとらえてみました。私の仕事柄、そこに「学び」という変数を入れながらの切り口となります。

まず、パフォーマンスとは「環境要因」と「自分自身の力」との掛け合わせだと考えてみました。

パフォーマンス=「環境要因」 × 「自分自身の力」

「環境要因」についても自らの意思と行動によって変化させていくことができる要素が含まれますが、ここでは「自分自身の力」に着目したいと思います。

パフォーマンスを高める上で鍵を握り、なおかつ、自らの努力によって向上させることができるのは「自分自身の力」です。そして、「力」は“掛け算”でパフォーマンスを変化させます。そのことを表現するために、イメージとして数式で表してみた次第です。

この構造について、イメージは湧きますか?

私たちは日々刻々と変化する環境で生きています。そこで私たちは様々な情報を得て、意味づけし、判断・行動しています。ただし、同じ環境の中にいたとしても、そこで何に気づき、どんな意味を読み取り、判断材料を得ることができるのか?その判断を精度高く行うことができるのか?という部分で残酷なまでの個人差が発生しています。それを私たちは「力の差」と表現することもあります。

同じ環境におかれたときで、そこに「力の差」が掛け算されることで、パフォーマンスには歴然たる差がついてしまいます。

状況の本質をつかみ取り、意味づけしながら思考・行動を積み重ねていく人と、その本質に気づかず、意味を加えることなく目の前のことに翻弄され続けている人とでは圧倒的な差がついて当然ですね。

そして、残酷なことに、この違いはその差を加速度的に拡げていきます。

そもそも、「力」の差は日々の中での成長度合いにも差を生み出し、放置していればその差は開く一方です。力があれば、同じ1日の中で多くのものを獲得し、より強くなっていきます。連日、昨日より成長した状態で今日を迎え、その成長した状態で次の1日を過ごすことでさらに大きく成長していくわけですから、毎日のスタート地点そのものが変わっていきます。

さらに、成長するからこそ「環境」そのものも変化し、時間とともにパフォーマンス(つまり結果)は比較できないレベルの差がつくことでしょう。

だからこそ、私は「学ぶ」ということの大切さにフォーカスし、結果を出し続けたいのであれば、今この瞬間から本気の「学び」に取り組むべきだというスタンスに立ってきました。

もちろん、その「学び」とは単純に本を読むとか、セミナーや研修を受けるということだけではありません。むしろ、最高の学びは「日常」「実践」「現実」の中にこそあるはずです。

ただし、「日常」を最高の学びの材料とし、毎日のタスクや思考行動を通して自分の力を高め、全てのクオリティを(パフォーマンス含めて)向上させるためには、成長し続けるための基盤を自分の中に築くことが不可欠です。

細かな知識・技術の中には、習得を先送りしても問題ないもの(優先順位としては低くしても支障が少ないもの)もありますが、すべてに掛け算のように影響する成長の基盤づくり、「大事な学び」だけは先送りするべきではありません。忙しくても、難しくても、意図的にその基盤づくりだけは先行もしくは同時並行で進めていきたいものです。

では、先送りすべきではない「学び」とはどういうものでしょうか?

そこは後編にて書いていきたいと思います。

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