判断できる職場・人材
仕事の現場で何かを判断しなければならなくなったとき、私たちは何を基準にするでしょうか?
「ルールやマニュアルに沿って判断すればよい」という人もいるでしょう。
管理責任者である上司、リーダーの中には、「定められたルールやマニュアルに沿って動け(それ以外のことはするなよ!)」という人もいるかもしれませんね。
要するに、「現場で判断などするな!」ということでしょうか。確かに、そういう規律や固定化された動きを重視する現場もあるかもしれません。しかし、ルールやマニュアルには限界があります。起こりうるすべてのことを予め想定し、対処方法を一律の形で定めておくことなど不可能です。想定していなかった事態への対応が求められる場合もあります。もしかすると、ルールやマニュアル通りに対応してしまうと、事態が益々悪化してしまう危険性があると(現場では)明らかだということもあるでしょう。
現場で何かを判断しなければならないとは、そういう状況を指しています。社会が変化しているとき、あるいは自分たちが変化しようとするときには頻発する事態です。
「いや、その時は上司や先輩に相談して決めればよい(その指示通りにする)」と思われる方もいるかもしれませんが、上司や先輩が常に横にいるわけではありません。では、どうするか?
多くの場合、ルールやマニュアル、上司・先輩からのの指示命令・助言ではなく、現場のメンバーがそれぞれに判断しながら行動する(セルフコントロール)ことになります。さらに言えば、メンバーがそれぞれにセルフコントロールのもとで熟考し、試行錯誤し、臨機応変に動きながらも、組織全体のベクトルが崩れない職場の課題解決力は、それができない職場とは比較にならないほど生産性が高くなります。
しかし、自律的な判断・行動のためには、未知なる課題や状況と遭遇した時に当てはめる「判断基準」をメンバーが持ち、職場内ですり合わせをしておくことが求められます。
では、その「判断基準」とは何でしょうか?
例えば、「仕事の意味」。
その仕事は、誰に、どんな価値を提供するためのものなのか?
「誰に」について、顧客、取引先、同僚、会社、他部門・・・等々、広く置き換えていくと仕事の意味を多面的に理解できるようになります。
また、「どんな価値を」を深堀りしていくと、その仕事が何につながらなければ意味がないのか?という本質を深く理解することができるようになります。
そうした「仕事の意味」を理解できるようになればなるほど、現場での個々の判断・行動の意味が見えてきます。結果的に、何をするべきで、何をするべきではないのか? また、それは自分が判断していいのか、判断してはいけないのか? という判断基準が培われます。
時間はかかりますが、本気で取り組み、継続して頑張りぬけば、限られた経営資源で最大の価値を生み出すための「職場」が育ちます。その「職場」がさまざまな階層の次世代リーダーを育みます。
なかなか理想には程遠かったとしても、その切り口で職場を育てていく会社と、そうでない会社の差は、10年先には歴然としたものになることでしょう。そんなことを目指し、より良き職場をつくりたいと思う人、私は応援したいと思います。
*写真に意味はありません。何となくのイメージです♪