勝負どころで自分を支える力
人は、キャリア(人生)という旅を歩む中で、何度となく現実的かつ冷酷な「差」を痛感することがあります。
今、この瞬間に、もしも目の前の「壁」を乗り越えるための「力」があったならば・・・残念ながら自分にはその「力」がないんだ・・・という動かしがたい現実を味わう瞬間。
そこで必要な「力」とは、自分自身の知力や気力・体力かもしれませんし、人的つながりかもしれません。あるいは、お金の力かもしれません。持っている人にとっては、目の前の状況は「壁」にさえならないのに・・・しかし、それを持っていない自分にとっては越えがたい「壁」でしかない・・・。
そんな現実を味わったことがない人は皆無ではないでしょうか。
もちろん、その「壁」は必ずしも悪いものではありません。私たちはポジティブかつ能動的に動いているときには、目の前の「壁」さえも成長のチャンスとしてとらえます。むしろ、意図的に「壁」のある道を選び、その「壁」の向こうに存在する未来に向けて心にドライブをかけていくことができるでしょう。
しかし、そうではない場合、自らと他者との間に存在する「歴然たる差」に絶望しそうになるかもしれません。
その「差」とはそもそも何なのでしょうか?
例えば、それは「生まれながらの差(素質や才能、家庭環境等々)」と「生まれてから今に至るまでの過ごし方の差」の掛け算で生まれるという言い方ができるかもしれません。
「生まれながらの差」 は自分ではどうすることもできません。しかし、実は多くのことは 「生まれてから今に至るまでの過ごし方の差」 が影響します。
その意味では・・・今、この瞬間に「壁」を超える力が無いとすれば、それはこれまでの自分が「力」を獲得してこなかったから。
その「力」を持っている人は、これまで「力」を獲得できる時間を積み重ねてきたから。極論としては、その差でしかないと考えてもよいかもしれません。
私たちは、キャリア(人生)における勝負どころで、その現実に直面します。
勝負どころまでに「力」を培い、養ってきた人であれば、
「あの日々があったから、今、こうして乗り越えることができる!」
という実感を持ち、更なる成長が加速していくことでしょう。うまくいかないことも多いでしょうが、培ってきた力が自分を支えてくれるはず。
残念ながら、勝負どころまでに自ら「力」を獲得するための動きをしてこなかった人の多くは、
「あのとき、ああしていれば・・・」
「あのときから頑張っていれば・・・」
「でも、今さら言っても仕方ない・・・だけど、もしもあのとき・・・」
となるわけですが、後悔先に立たず。タイムマシンに乗って過去を塗り替えに行くことはできません。
できれば、いずれ訪れるであろう勝負どころにおいて、自分を支える力を予め培い、強い自分を養っておきたいものです。時間をかけて仕込んできたからこそ、実現できる「自分」をそのときに思う存分発揮するために。
当たり前のことではあるのですが、日常が当たり前に流れていくとき、私たちは未来の自分、未来の「今」のために、今を大事にし、仕込んでいくことを軽視しがちです。「いずれやろう」「いつかやろう」なのか、「今やろう」なのか、その違いが、勝負どころの自分を支える力の差になって顕在化します。
やるべきことは今からやっていこう。
少なくとも、私自身はそんな自分でありたいと思う今日この頃です。
*写真は昨晩自宅でつくった日本酒カクテル。手順は単純な作り方、素人づくりでしかありませんが、予めオーク樽スティックとドライフルーツを漬け込み、仕込んできたお酒を用意していたからこそつくることができた一杯。飲みたいと思ったとき、予め仕込んでおいたからこそつくることができたわけです。キャリア形成や経営と同じですね。