自分を学び、自分を創る「キャリアの踊り場」
自分自身のキャリア(人生)は自分のもの。できれば、自分らしさが滲み出る生き方、描き方を感じられるものにしたい。
万人に通じるものかどうかはわかりませんが、私自身はそう思っていますし、私がこの仕事を通じて出会った方たちは少なからずそうした思いを持たれていたと感じます。もちろん、中にはそれを胸に秘められているという方も少なくないですが。
「胸に秘める」=「表に出さない」、その理由は人それぞれです。
例えば、「自分」を抑えることで周囲との調和を図っているという人もいらっしゃいます。後継者・後継候補者の方にはそういう方が少なくありません。また、日常の中で多くの方の人生への責任を感じる立場にある方にも同じような傾向があったりします。自分がそれを口にするわけにはいかないと・・・。
あるいは、「自分」を中核に置き、自分にとってのベストに近いベターを見つけ出そうという動きに対して「勇気」が不足している(不安に負ける)。そのため、気持ちを抑えこみ、現状維持を続けているいう方もいらっしゃいます。何かを変えようとするときは何かを失うことも多く、そこに不安や恐怖を感じることはごく自然なことですから。
しかし、そんな自分を受け止めたうえで、自らを縛る「枠」を外していったとき、多くの方は自分の中にある本当の可能性に気づき、そこに手ごたえを感じ取ります。そして、少なくとも自分比較で見たときに「よりよいキャリア(人生)」を描き始めます。
そのための起点をまずはつくりたい。もちろん、ボタンを掛け違えない形で起点をつくりたい。そのとき、とても大事かつ不可欠なアプローチは「自分を学ぶ」ことだと私は考えています。
自分自身を知り、自分を取り巻く環境との相互作用の中で生まれている「過去」「今」を理解するとき、すべてに意味づけが可能になります。自分自身の持つ可能性や価値を知り、「未来」を現実的に描く力が湧き出てきます。
私はそのためのプロセスを「軍師力」の中に組み込み、軍師アカデミー独特の学びの体系をつくってきました。
実際、軍師アカデミーにいらっしゃる方たちは本当に多種多様ですが、本質は全てに通じることを実感します。
プロフェッショナルとしての独立を志向される方、経営者としての未来と向き合い苦闘を続けている方、今のキャリアや職域に限界を感じながらも次の扉を開く勇気を持つまでに至っていない方、そんな方たちの役に立ちたいのに無力さを感じている方・・・どんな方たちにとっても外せない本質に大きな差はありません。
そもそも、何とかしたいと思っている問題において、本当の「何とかしたい対象」「何とかできる対象」は「自分しかない」ことが大半ですから。
そして、「自分を学び、自分を創る」ための人生の「踊り場」を持つこと。これは自らの意思と行動からしか生まれません。
頑張ってキャリアの階段を上っている私たち。でも、時々、その歩みを止め、深呼吸し、自分が乗り越えてきた階段を振り返り、階段の先に何があるのかを冷静に見極め、その階段の周囲を見渡すための「踊り場」。
キャリア(人生)の中では、ときどき、自ら「踊り場」をつくり、その「踊り場」で熟考し、そこからの自分を描き直すための時間をもちたいところです。
しかし、自分を学び、自分を描き直すための「踊り場」は、誰か他人が用意してくれるようなものではありません。自分で「踊り場」とする場所を見つけ、そこを「踊り場」とする決断を下し、その意識をもって行動しない限り、だらだらと階段が続きます。
軍師アカデミーをスタートさせたのが2010年。既に14年目となる軍師アカデミーにはこれまで多種多様な方々が参加してくださり、アカデミー受講を1つのキッカケとしてご自身のキャリア(人生)をより良いものにされてきた方がたくさんいらっしゃいます。そんな方たちに通じるのは、アカデミーという学びの場を単なる知識・技術獲得の手段としてとらえるのではなく、その期間をご自身のキャリアの踊り場として活用し、自分を見つめ、自分について学び、自分を自分らしく活かす動きを立ち上げていらっしゃるということだと実感しています。
自分を学び、自分を創るための大事な期間としての「踊り場」をつくること。これは人生を左右する学びが持つべき、大事な側面なのだと実感しています。