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2018-12-11

顧客接点としての“おしぼり”

京都の岡崎エリアに位置するタンドリーチキン&野菜の名店「セクションドール」。

黄金比率配合のスパイスで漬け込まれた鶏肉、厳選された野菜の魅力を過熱水蒸気調理法でとことん引き出し、盛り付けられた一皿にシェフの美学やこだわりを感じる至福のひととき。先日京都を訪れた際にもその時間を堪能してきました。

↑写真はだいぶ前の夏のモノです。

 

こちらのお店に伺い始めてもう5年以上になります。当時からメニューは変わらず、昼も夜も同じ1種類のプレートと飲み物のみという潔いくらいにシンプルなスタイル。もちろん、その中で野菜は季節を反映させながら変化していきますし、同じスタイルながらも年々凄みを増していると感じるのはシェフが裏舞台でさまざまな努力を続けていらっしゃるからだと敬服するばかりです。今回は、そんなお店の中でわかりやすい変化が1つありました。

その変化こそ、写真の“おしぼり”です。

一見しただけで上質感があり、触ったときの感じは優しい暖かみに満ちています。

こちらの“おしぼり”、世界一安全で精密なタオルを標ぼうされる愛媛県今治の IKEUCHI ORGANICさんにフルオーダーしてつくってもらっているそうです。

考えてみれば、“おしぼり”は重要な「顧客接点」。その接点を通してお店と顧客との間でメッセージや価値が交わされるわけですから、その接点にどんなものを使用するのかはとても重要です。特に、こちらのお店のようにこだわりの価値をつきつめて表現している場合、おしぼりは単に手を清潔にできればよいというものではなくなります。

安心のオーガニック素材、ち密な品質管理によって生産された“気持ちの良いおしぼり”は、セクションドールさんの中で大事な役割を担っているわけですね。

 

この“おしぼり”を投入したことで、シェフの仕事は少し増えたようです。

オーガニック素材の良さを生かし続けるためのメンテナンス、さらに顧客が来る度にお湯で温め、絞って提供するオペレーション。シェフ一人のオペレーションでまわしているお店なので負担増の面もあるようです。しかし、そのオペレーションの中で改めて「仕事」の意味づけを深め、価値を高めようとされているのでしょう。作り手側やサーブする側のマインドが食事には伝わるといいますが、その通りだと感じます。

また、食べる側も変化するようです。私も実感しましたが、最初に出てくる“おしぼり”が上質であるがゆえに、自分自身の食事への姿勢も自然と良くなっていく気がします。細かいことで言えば、たぶん、大半の人はこの“おしぼり”を丁寧に使い、お行儀も良くなるのでは?と思います(笑)。実際、皆さん、おしぼりを丁寧に扱ってくれるそうです。飲食店では、他人が同じ空間で食事しているわけですから、そうやって醸成される空気、雰囲気も大切ですね。

“おしぼり”を通して、無言のうちにそういう気持ちや動きが循環し、シェフが目指す心地よいお店づくりが進んでいるのでしょう。

 

次に訪れるのは年明け以降になると思いますが、次回も楽しみです♪

 

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