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2018-12-06

基礎を固め、基本を掴む

昨日、岡山で開催された東儀秀樹さんのコンサートを聴きに行きました。

篳篥(ひちりき)、笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)という雅楽の管楽器を用いながら、幅広いジャンル、時代の音楽を表現するステージはとても刺激的なものでした。儀式的な位置づけで伝統的な音楽を奏でるべき場では、決まりごとに忠実に、むしろ遥か昔に定められた頃と同じ音を表現することに注力するそうですが、自由な場では「音を楽しむ」べく、その楽器の持つ力を思う存分引き出して多くの人に魅力を伝えようとされているとのこと。その言葉通り、魅力的な音を楽しませていただきました。

ステージではかなり挑戦的に伝統音楽の枠を壊し、独特の世界を見せてくださいます。改めて感じるのはその土台となっている基礎・基本の強さ。若い頃から徹底的に土台となる知識・技術を身につけて基礎を固め、ご自身の音楽の出発点となる基本を持っているからこそ、どんなに枠をはみ出した動きをとったとしても全体を破綻させることなく、形づくることができるのでしょうね。

 

ちゃんと基礎を固め、自らの基本をつかみ取ることの大切さ。基礎学習、訓練の多くは面白くなかったり、つらくて無意味に思える反復の連続だったりすることも少なくないですが、そこを越えて来ているかどうかの違いは実践・応用のフェーズで決定的な差を生み出すことも少なくありません。独自性を求め、型にはまらないことをしようとすればするほど、型の本質を身につけているかどうか、自分がよりどころにできる何かを掴んでいるかどうかが意味を持ってきます。

基礎を疎かにし、基本を掴む前に、表面的なところで独創性を出そうとしている人の仕事は薄っぺらい。味わえば味わうほど、噛めば噛むほど、悲しいくらいに本物感が無くなっていきます。しかし、強い基礎の上に立ち、自らの基本を持つ人の仕事には深み・厚みがあり、味わうたびに新しい景色が浮かび上がってくるものです。

 

私が普段生きている仕事の世界ではそういうことを感じることが少なくありません。きっと、音楽の世界でも同じようなことが言えるのかも・・・と感じたコンサートでした。

基礎を固め、基本を掴む。大切にしていきたいと思います。

*「基礎」と「基本」は似ている言葉ですが、この記事では、あえて違う意味合いを持つものとして使っています。

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